アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像
(画像は、wikipediaよりもってきました)


「黄金のアデーレ」という映画を観ました。

今年は本格的に絵画を観るようになったので、その流れで絵画モノの映画という
ことでお気軽な気持ちで観に行きましたが、なかなかどうして、いい作品でした。

簡単なストーリーを言うと、第二次世界大戦中のオーストリアで、ナチスによって
収奪されたクリムトの名画「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像1」 を、元の
所有者一族の一人マリア・アルトマン個人が、でオーストリア政府を相手として、
裁判で闘い、 最終的にその所有権と共に家族の○○を取り戻す、というお話です。
実話をもとに作られた映画です。

この映画の中でも、マリアの弁護士となったランディはその価値(映画の中では1億
ドル)に目がくらみ、それを取り返すことができた時の成功報酬を目当てに依頼を
受けています。
恥ずかしながら、僕もこの絵画についた『金額』に惹かれて観に行ったような
ものです(^^;)

でも、マリアが取り戻したかったのはそのような経済的な価値ではないんですね。
そこに描かれている、叔母アデーレとの思い出。
祖国オーストリアで暮らした幸福な日々。
しかし、その裏側には忘れてしまいたい過去も同時についてくる。
ユダヤ人というだけで、祖国を奪われる人生の理不尽さ。
簡単に変わる人の心。
いい思い出、悪い思い出、様々なものを含んでその人の人生であり、その人の歴史
なんですね。


今となっては、作品として形に残っている絵画そのものの美しさや、価値の基準として
用いられる評価額でしか僕たちにはその絵画の姿を捉えることはできないのですが、
それを描いたのは「人」である以上、様々なストーリーが隠れているんでしょうね。
描いた画家はもちろん、モデルとなった人。依頼した人。愛着をもって所有した人。
…等々。 

それぞれの絵画が持つストーリーというものを改めて知りたい、と思わせてくれる
映画でした。
もちろん、そこに関わる人々のストーリーも。 

ちなみに、現在この作品はエスティ・ローダーに買い取られ、ニューヨークの
ノイエ・ガレリエに所蔵されているということです。
(そのストーリーも映画で語られています。お金に目がくらんで売った訳ではありません。)


そういう観点で見ると、高額絵画とされている、
ゴーギャンの「ナフェア・ファア・イポイポ」や、セザンヌの 「カード遊びをする
人々」には、どのようなストーリーが隠されているのでしょうか?
(高額絵画のまとめ http://matome.naver.jp/odai/2133688564260969501 )
また、高額評価がついていなくても人々を虜にするようなストーリーを持った絵画
があれば、そのストーリーとともに鑑賞してみたいですね。

2016年は、ストーリーにも注目してアートを楽しみたいと思います。

こんな、作品に隠されたストーリーを、どなたか教えてください。 



Artueのメルマガはコチラから。

http://www.mag2.com/m/0001668433.html


 

「未知のアートとの出会い。」Artue(アーチュ) http://artue.jp